お客様の声VOICE

味の“記憶喪失”

①偶然ですが、知人に味覚障害になった女性がいて、その病名や様子は耳にしていました。私の発症の発端はミネラルウォーターに変な味を感じたことで、もしや? と疑いましたが、夏バテのせいですぐ戻るだろうとも思っていました。しかし、ある日の夕食に作った煮物を夫が「全然塩気が無いよ」と言い、やっぱりそうか!と観念して状況を明かしました。夫は驚きましたが、状況の理解は早く、その後ずっと調理や味付けを助けてくれました。夫に前知識があったことは、私にはラッキーでした。

知人女性から、病院に行っても思うようではなかったとも聞いていたので、私は初めから行きませんでした。
 一方、殊の外暑い夏だったせいか、胃腸が弱っていることは自覚していましたから、胃腸を元気にすることが先決と、指導を受けて漢方薬を服用することにしました。お蔭で胃腸は落ち着いたのですが、味覚は回復しません。口の中はいつも塩っぽいのに食べ物の塩気は感じません。甘味は鉄を舐めているような不味さ、間食も一切できなくなりました。
肉、魚、乳製品、味噌醤油等のアミノ酸系のものも全くダメでした。辛うじて食べられた物は、白いご飯、トマト、白身魚の刺身くらいでした。嗅覚はありましたので、美味しそう!と思っても実際に食べることは出来ず、体重は10Kg以上減りました。
②胃腸の調子キープの為に漢方薬は続けながら、もっとダイレクトな治療をと思い、井辺先生の治療を受けるようになりました。発症から9ケ月経っていました。先生は「早ければ早いほど、効果は出る。」とおっしゃいましたが、1度も、年齢によるので仕方ない、とか、亜鉛剤を飲め、カキを食べろ等々はいわれませんでした。

超極細とは云え、ハリを刺すのですから無痛という訳にはいきませんが、治りたい一心と、家族友人の応援、そして井辺先生のお人柄で約1年間通いとおせたのだと思います。毎回じっくり様子を聞いて下さり、その都度対応を考えて下さいました。私も毎日ではありませんが、家で指へのお灸をしました。治療院が学芸大駅から近かったことも、余り苦にならずに通えた利点だと思います。

③④⑤通院して7ケ月めの頃、茹で卵に振った塩に思わず「しょっぱい!」と声が出て自分でびっくりしました。以前はお皿の塩をベロッと舐めても何も感じなかったのに!ポテチや塩煎餅の塩気も判るようになりました。インスタントではありますが味噌汁も美味しく感じ、舌の膨張感やザラつきも消えてきました。この頃家族でお鮨を食べに行く機会があり、ネタそれぞれを全部味わうことが出来ました。この時、自分では治療の成果を確信して、家族と同じ物を食べられる幸せを感謝しました。先ず塩気が戻り、旨味やコクを嫌な味と感じなくなり、水もピュアに味わえ、食べ物をトータルで美味しく頂ける、というのが回復期の流れだったようです。
作った料理を、家族が美味しいと言ってくれたのはもう少し後でしたが、この頃から体重も戻り始めて完治を実感しています。今まで食べていた物が、今までのように美味しく味わえればいいんですよ、との井辺先生の言葉にも、味覚障害は味の記憶喪失だったのだ、と身を以て経験した思いです。     

※個人の感想です

味覚障害   (東京都・60代・女性)